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3、意外な展開(第2回) すると黒田の家に行くと言ってからずっと不機嫌そうにしていた猛が、口を開いた。 「あのじじい、実は結構いい奴だったのか? まさかあのじじいが、あんな物わかりのいいこと言うとは思わなかったぜ。口調は堅いものがあるけど」 昨日の黒田の態度を引きずっていた猛は、意外そうにぼやいた。 「きっと、素直じゃないだけなんだよ。本当は、根は優しいいい人なんだ」 「じゃあ今まであのじじいがやな奴に見えたのは、対応する人間が悪かったせいなんだな」 「……それはようするに、おれに問題があるとでも言いたいのか?」 「さあな」 睨みつける鋭二に、猛はしらじらしくとぼけた。 二人の会話がとぎれてしばらく経ち、やがて家のなかからはドタバタとなにかが走ってくる音が聞こえてきた。 鋭二たちは怪訝に思ってドアのほうを見ていると、そのドアが勢いよく開かれると同時に、鋭二の胸に一人の少女が飛び込んできた。 「お兄ちゃん!」 この予想もしなかった突然の出来事に、鋭二の反応が遅れた。 「うわっ!? リ、リティちゃん!?」 少女を確認した鋭二は不意をつかれ驚きながらも、なんとかその小柄な身体を受けとめた。 しかし相手の勢いが強く、まったく構えていなかったためその衝撃に身体を押され、二、三歩後ずさったあとにぺたんと尻もちをついてしまった。 「あ、ご、ごめんなさいお兄ちゃん! 大丈夫?」 リティはすぐさま鋭二から身を離し、申しわけなさそうな顔で覗き込んできた。鋭二はとりあえず打った尻の痛みを無視すると、何事もなかったかのように平然と立ち上がった。 「大丈夫だよ、リティちゃん。ちょっとびっくりしたけどね」 鋭二がそう優しく微笑むと、リティもまた元気な笑顔に戻って、再び鋭二の胸に飛びついた。鋭二は今度こそちゃんと、リティの身体を受けとめた。 「お兄ちゃん、昨日は本当にありがとう! あたしのこと、助けてくれて。あたし、お兄ちゃんのこと大好きだよ」 「リティちゃん……ありがとう。お兄ちゃんもリティちゃんのことが大好きだよ」 鋭二はそう言って、リティの頭を優しく撫でた。 (こいつ……実はロリコンなんじゃねえか?) 鋭二たちのやりとりを見ていた猛は、密かにそんなことを思っていた。 「どうやらリティも、そうとうお前のことが気に入ってるようじゃの」 リティに遅れて、再び黒田が家の中から出てきた。 「話をしたとたん、いきなり飛び出すんじゃからな」 「黒田博士……。そうみたいですね。正直、ここまでリティちゃんから好かれているなんて、思いもしませんでしたけど」 鋭二の顔は、やや照れくさそうに緩んでいた。 「まあ、リティがその調子なら安心じゃ。沢村よ。わしはもう、休ませてもらう。あとのことは、みんなリティに話してある。リティのこと、頼んだぞ」 「はい。……って、頼んだってどうゆうことですか?」 頷きかけた鋭二は、すぐに聞き返した。だが黒田はそれには答えず、リティに話しかける。 「リティ、あとのことは頼んだぞ。沢村の言うことは、よく聞くようにな」 「うん! 任せといて!」 リティは元気よく返事した。その一方で、鋭二は状況がよく掴めないでいる。 「あ、あの、黒田博士。一体、どうゆう……」 「さて、わしはもう一眠りするとするか」 黒田は鋭二の質問には取り合わず、さっさと家の中に入ってしまった。鋭二はわけがわからないまま、ただボウ然とするしかなかった。 第2回終了 |
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